住宅ローンおさらい(3)「全期間固定型」の仕組み

注文住宅

それでは最後に「全期間固定金利」についてご紹介します。

変動金利や固定金利選択型などの住宅ローンにつきましては、以下で記事にしておりますので、よろしければご参照ください。

2020年6月時点の最安値はジャパンネット銀行の「0.399%」をはじめとする空前の低金利と言われており、60%程度の人が変動金利を選択しています。

一方でフラット35をはじめとする固定金利は全体の10%程度の人しか利用していません。

利用する人の割合で言えば少ないですが、どのような特徴・メリットがあるのか、一緒に見ていきましょう。

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全期間固定金利

それでは全期間固定金利の特徴について見ていきます。

また、大半の人は、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」を利用されるため、今回は「フラット35」に絞って解説します。

借り入れした月の金利が完済まで固定される

「フラット35」に代表されるような、住宅ローンの借り入れ時点から返済まで借り入れ金利が固定されているタイプのローンです。

金利は毎月発表され、ほぼ例外なく毎月金利が変わります。

例えば2020年6月の「1.29%」で35年ローンを組んだ場合、35年間ずっと1.29%金利で固定されます

変動金利の場合は半年に一回金利が見直され、金利の上昇・下落がありますが、固定金利は金利の変動に関係なく全期間同じ金利で返済することができます。

やっぱり返済まで金利が固定されるのは精神的に安心だよね。

変動・固定の損得もあるけど、精神的な安定を取るなら固定金利ね。

返済計画を立てやすい

繰り返しになりますが、固定金利の最大のメリットは、世の中の金利が上昇していたとしても返済金額に影響はない、ということです。

つまり、ローンを借りる人は金利変動のリスクを負う必要がありません。

住宅ローンを組む人の大半は35年という超長期ローンになりますので、収入や健康上のリスクだけではなく、景気変動、離婚、親の介護など、返済までの間に様々なリスクがやってきます。

リスクをゼロにすることはできませんが、少しでも軽減できるといいですね。

フラット35の場合、あらかじめ35年間の返済額は決められているため、資金計画が立てやすく、計画上は返済資金の枯渇リスクが大きく減ります

自身の収入額、子どもの学費についてある程度の予測を立てることはできますが、私立・公立では大きく学費が変わることもあり、「仮説」を立てることしかできませんが、「フラット35は費用が確実にわかる」というだけでも大きなメリットになります。

ずっと返済金額が変わらないのはわかったけど、何かデメリットはないのかな?

変動金利よりも、借り入れ時点では金利が高い

変動金利の場合、世の中の金利の上下に合わせて住宅ローンの金利を変えることができるため、極端に高額なローンではない限り金融機関側はリスクを抑えることが可能です。金融期間側のリスクが少ない分、変動金利では金利も低く抑えれています。

一方でフラット35の場合は、35年間金利が固定されます。5年先の未来も予想が難しい中で金利を35年間保証することは金融機関にとって大きなリスクとなります。

そのためフラット35は民間の金融機関ではなく、「住宅金融支援機構」が提供しています。

尚、みずほ銀行や三菱UFJなどのメガバンク、都市銀行は企業規模が大きく多少のリスクを負う体力がありますが、ネット銀行では大きなリスクを負うことができないため全期間固定金利商品は提供されていないか、高金利になります。

2020年6月現在、変動金利では、ネット銀行で0.4%程度、メガバンクでも0.5%程度で借り入れることができます。

変動金利では「1.3%」程度(頭金10%、買取型、団信加入)かかりますので、変動金利よりも1%弱も金利が高くなります。

「1%」っていうと少なく感じるけど、3000万円借りたら毎年30万円くらい金利の支払いが多くなっちゃうね。その次の年も28万円暗い多くなるし、かなり大きな差だね。

うーん、返済金額を固定するだけのために毎年30万円も金利だけに支払うのはちょっときつそうね。。。

フラット35の金利は過去最低水準

フラット35 金利推移(ARUHIウェブサイトより)

変動金利に比べると当然金利は高くなりますが、今までの金利推移で見てみると、「フラット35」の金利は過去最低水準にあります。

上記のグラフは、これまでの推移を表しています。
最も一般的な金利は「頭金10%〜20%、買取型、団信加入」という、濃い青色の折れ線グラフです。

ほんの10年前にフラット35を組んだ人は金利が「2.5%」程度であったことを考えると、現在の金利は最も低い状態にあります。

変動金利は過去20年間でほとんど変わっていませんが、
固定金利は毎月大きく変動があります。

変動金利と比べるとフラット35は金利が高くなりますが、1.3%程度の金利で35年間の金利上昇リスクを回避できることを考えると、決して高額でもないとも言えます。

バブル期に7%の金利を組んで返済に苦労している人、テレビで見たことあるなー。

7%って、投資なら10年後にお金が倍になるくらい高金利よね。
それとは比較にならないくらい低金利ってことねー。

変動と比べると高い、過去と比較すると低い。
どっちにするか悩むなー。 

「フラット35S」:住宅性能基準を満たすと当初10年間金利優遇される

フラット35は基本的に全期間固定金利となりますが、「耐震基準3等級」や「省エネルギー性」など、ある一定の住宅性能を満たすと、借り入れから10年間は金利が0.25%減額されます。

私の自宅は「耐震基準3等級」で申請し、フラット35Sで10年間の金利優遇を受けています。

尚、フラット35Sの基準に満たない住宅は、長期的に見ても建物性能が低くメンテナンスコストが高額になりやすいため、選択しないほうが良いという設計士も少なくありません。

購入検討している物件がフラット35Sの基準を満たしているかどうかについては事前に確認しておきましょう。

詳しい条件は住宅金融支援機構のHPをご覧ください。

住宅金融支援機構が提供、銀行はフラット35の窓口のみ

補足となりますが、フラット35は金融機関経由で申し込みます。
銀行は窓口のみ行い、住宅金融支援機構が提供するサービスですので、基本的にはどの金融機関を通して申し込んでも金利は共通になります。

比較サイトでは、特定の金融機関だけ変動金利並みに低い金利が掲載されていることがありますが、これは「頭金4割以上、保証型、団信なし」などのようにほとんどの人が借りないような条件の金利が比較サイトには掲載されているため、注意が必要です。

借りてはリスクが低い分、負担する金利が高くなるのは仕方ないことだね。

うーん、変動金利と比べると1%くらい金利変わるし、どっちにしようか悩んじゃうわね。

頭金ゼロの場合は金利が高額になる

フラット35の金利は過去最低水準にありますが、それでも条件によっては金利がそれなりに高くなってしまいます。

もっとも金利に影響するのは、「頭金」です。

前述の2020年6月の金利「1.29%」は、「頭金10%、買取型、団信加入」の場合に適用される金利です。

仮に頭金が10%未満になる場合の金利はどうなるでしょう。

答えは、+0.26%で、「1.55%」まで上昇します。

1.55%はちょっと金利が高すぎるように感じちゃうねー。
フラット35にするなら、頭金は10%用意したほうがよさそう。

フラット35のまとめ

(1)借りる場合は頭金10%は用意するべき
(2)フラット35の金利は過去最低水準
(2)変動 or 固定は、損得ではなく価値観で決めるべき

今後も住まいに関する情報を発信していきますので、よろしくおねがいします。

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