今まで特に自分について書いておりませんでしたが、私はもともと大手予備校で大学4年間働かせていただき、そのまま就職後も5年間働いていた経験があります。
大学受験は漠然と高額というイメージはありますが、受験前の予備校費用、受験料、合格後の入学金などの初年度納入金など、様々な費用が発生します。
そこで今回は、社会人としての5年間で500名以上の受験生を担当した経験を元に「大学受験前後で発生する金額」についてざっくり解説します。
細かい点までは今回は触れませんので、概要としてお読みいただけると幸いです。
先に概要をお伝えすると、「私立文系志望の場合、高校の学費以外で250万円」程度かかる想定です。
発生する費用は「予備校費用」「受験料」「初年度学費」
高校〜大学までの学費の中で、最も多く費用がかかるのは「高校3年生」の1年間です。
高校の学費、予備校の学費、大学の受験料、入学手続きの初年度納入金、場合によっては大学から一人暮らしのための初期費用など、多くの費用が高校3年生のたった1年間の間に発生します。
私が働いていた大手予備校の場合は、初めから学費や受験料などについて準備されている方の方が圧倒的に多かったですが、入学金ができる限り少なくなるように受験スケジュールを組んだとしても想定外に費用がかさむことも多く、事前に大学受験の全体像を把握しておくことが大切であると実感しております。
もちろん、私立文系なのか、国公立理系なのかなどの属性によっても大きく費用は変わりますが、全体像を掴む一助になると幸いです。
大手予備校:高校3年生の1年間で約100万円
予備校の中でも大手、中小で費用が変わりますが、河合塾、駿台予備校、東進ハイスクールといった大手予備校は、高校3年生の1年間で概ね100万円程度の学費がかかります。
内訳としては、通年授業で約60万円、夏期講習20万円、冬期講習20万円程度です。
受講する科目の数によって授業料は大きく変わりますが、平均するとどの大手予備校でも概ね上記費用程度になります。
「東進ハイスクールは学費が高い」ということをよく耳にしますが、授業料の単価自体は決して高額ではなく、他の予備校よりも多くの授業数を受講される場合が多いため、総量としての授業料は相対的に高くなることが多いようです。
大学受験料:平均は20万円〜30万円+α
続いて大学の受験料です。
様々な受験方式がありますが、基本的には以下のような費用体系です。
・センター試験:18,000円
・私立大学一般入試:35,000円 × 受験した数
・国公立大学:17,000円
一つ一つを見るとそれほど高額にはなりませんが、一般的には私立大学の一般入試で複数大学を受験しますので、平均で20万円〜30万円程度の費用がかかります。
また、合格発表、入学手続きの期限は各受験方式、学部ごとに変わりますので、場合によっては第一志望校の合格発表前に滑り止めの大学の入学金を納めなければならなくなることもあります。
入学金は医学系の学部を除くと平均で20万円程度です。
例えば、第一志望ではない大学Aの合格発表日が2月13日、入学手続きの期限が2月19日、第一志望の大学Bの合格発表が2月20日である場合を考えてみましょう。
大学Aは第一志望ではないものの2月13日の合格発表で合格したことを確認しています。
この大学Aの入学手続きの期限は2月19日のため、2月19日までに入学手続き(入学金の支払い)をしなければ、大学Aの合格は無効になります。
しかし、第一志望校の大学Bの合格発表日は2月20日のため、2月19日まで時点で大学Aの入学金を納付して入学可能な状態を維持しておくか、入学手続きをせずに大学Aの合格を捨てるかの選択をしなければなりません。
様々な制度がありますが、基本的にMARCH以上の大学では入学金は返納されませんので、事前にどのような判断をするか決めておく必要があります。
尚、国公立大学の合格発表は3月10日前後ですので、私立大学の合格を確保しておくためには必ずどこかの大学に入学金を納めておく必要がある点も注意が必要ですね。
何年も予備校に勤めていると、その人にとって合理的な受験スケジュールは比較的簡単に作ることができますが、ご家庭で初めて大学受験をされる場合は学校の先生や予備校の担任の先生と相談しながら進めることを推奨します。
大学受験のスケジュール、合格最低点などを調べるためのおすすめ本は、末尾でご紹介しています。
入学手続き:「入学金+年間学費」
さて、入学する大学が決まりましたら、いよいよ入学手続きです。
期限までに手続きをしなかった場合は、ほぼ例外なく合格は無効になります。
手続き期限を過ぎたために入学できなかったケースも担当生徒だけで過去に2名いますので、いつでも入学手続きができる準備はしておきましょう。
入学手続き期限は、合格から約1週間後
国公立、私立問わず、入学手続きの期限は、合格発表日から1週間以内であることが一般的です。例えば2月10日に合格発表であった場合、2月17日頃が入学手続き期限であることが多いです。
繰り返しになりますが、期限までに手続きを行わなかった場合は、合格取り消しになりますので、注意しましょう。
初年度納入金:入学金+1年目の年間の学費など
初年度納入金は大学によって変わりますが、一般的には以下のようになります。
大学の初年度納入金
・私立文系:120万円(入学金20万円+学費など100万円)
・私立理系:170万円(入学金20万円+学費など150万円)
・私立薬学系:240万円(入学金40万円+学費など200万円)
・私立医学系:大学によって大きく変わりますが、300万円〜1000万円
・国立大学:75万円(入学金20万円+学費など55万円)
基本的には上記の費用を入学手続き期限日までに収める必要があります。
後期分の授業料のみ後払いにすることが可能な大学が多いですが、半年後には支払いの必要がありますので、入学時にすべての金額を収めることができるように準備しておいた方が良さそうです。
入学辞退の場合は、「入学金以外の返納」が一般的
補足となりますが、初年度納入金すべてを支払った後で入学辞退をした場合、学費関連の費用は返納されることが多いですが、入学金についてはほぼ返納されません。
これは大学に限ったことではなく予備校を退会する場合も入学金は返金されないことが一般的です。
高校3年生でかかる費用の合計
まとめると、高校3年生の1年間で発生する費用は次の通りです。
・高校の学費:公立約12万円、私立約80万円
・予備校の学費:約100万円
・大学の受験料:約20万円−30万円
・大学の初年度納入金:私立文系で約120万円
医学系などの特殊な学部を除いても、1年間で300万円前後発生することが多いようです。
兄弟で高校受験、大学受験が重なるとさらに費用が増しますので、学費については計画的に確保していきたいですね。
おすすめ本
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