参考資料:2018年度 民間住宅ローンの実態調査
今回の内容は、住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」を参考に作成しています。
参考:https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_user.html
「2018年度」が、現在の最新データです。
金利タイプの違いを簡単におさらい
住宅ローンを組むときには、大きく分けて3つのタイプに分類できます。
「全期間固定金利型」「変動金利型」「固定金利期間選択型」です。
それぞれ簡単に補足します。
全期間固定金利型
借入れたときの金利が全返済期間を通じて変わらないタイプ
■メリット
・借入時の金利固定のため、完済まで支払い金額が確定する
・借入時に返済期間全体の返済計画を確定できる
■デメリット
・借入れ後に金利が低下しても返済額が変わらない
フラット35などがこの「全期間固定金利型」に該当します。
全期間金利が固定なので、少し高い金利を支払いつつ、今後の金利情報リスクは金融機関に負っていただく方法です。
変動金利型
定期的に金利が変動し、支払額も変動するタイプ。
■メリット
・固定金利よりも金利が低水準
・借り入れ後も金利低下すると支払額も低下する
■デメリット
・借入れ後に金利が上昇すると、返済額が増加
・返済金額が確定しないので、返済計画を確定できない
現在最も主流の住宅ローンです。
金利は低いものの、今後の金利上昇リスクは自分で追うことになる方法です。
固定金利期間選択型
「当初3年間○%」など、一定期間固定金利が適用されるタイプ
■メリット
・固定金利期間中は返済額を確定できる
■デメリット
・借入れ後に金利が上昇すると、返済額が増加
一定期間だけ金利固定で契約することができるので、一般的には「変動」「全期間固定」を決められない人向け、または10年程度で完済できる想定の人向けのようです。
変動、固定ローン利用者の割合
それでは現在の利用者の傾向データを見ていきいます。
変動金利が全体の6割を占める
一番右側の棒グラフが最新のデータです。
近年では変動金利を選択する人が増加傾向にあり、全体の6割を占めています。
直近20年間は変動金利は大きく変わっておらず、各金融機関の金利優遇幅も増加傾向にあるため、短期的には確実に金利支払額を減らすことができる変動金利が多く選ばれているようです。
また、続いて多いのは「固定期間選択型」です。
利用者の割合は減少傾向にありますが、4人に1人は利用されているようです。
「全期間固定型」が最も少ないですが、概ね15%程度の人が継続的に利用していることがわかります。
固定期間選択型は、「10年」が最も多い
このグラフは、「固定期間選択型」を利用した人が、何年固定のタイプを選択したかの割合を表しています。
概ね半数程度の人が「10年固定型」を選択しており、近年では10年以上の固定金利を選択している人も増加傾向にあります。
合算すると、固定金利期間選択型では「10年固定」と「20年固定」などの10年以上の期間を選択をする人で8割を占めています。
「全期間固定型」のうち6割は「フラット35」
全期間固定型のローンを組む人の約6割が、住宅金融支援機構が提供するフラット35のようです。 フラット35は民間金融機関と審査基準が異なるため利用者が多いと考えられます。
金利推移
変動金利は過去20年間ほぼ変化なし
住宅ローンの金利は2017年頃に大幅に下落し、金利をさげることを目的に住宅ローンを借り換える人が銀行に殺到しました。
実はこの期間も金利は大きく変わっておらず、各金融機関の「金利優遇」の幅が大きくなったため、実質的に借り入れ金利が下がったという状態でした。
固定金利は過去最安値水準
「全期間固定型」の「フラット35」の金利は、昨年9月10月が過去最低水準をつけましたが、2015年以降は概ね「1.3%」程度で推移しています。
また、インターネット検索すると「フラット35、金利1.05%」という表示を見かけることがあります。ここでは詳しく触れませんが、これは「借り入れ比率8割以上9割未満、フラット35Sの当初10年間の金利」のことを表していますので、フラット35の金利が特定の銀行だけ安くなるということはありません。
金利優遇の推移
金利優遇は、「変動型」「固定金利期間選択型」に影響します。
上記のグラフのように、変動金利はほぼ横ばいであるにも関わらず変動金利の最安値を更新し続けています。
これは各金融機関が定めている「金利優遇」が大きくなっているためです。
金利は「2.475%」であっても、金融機関が金利を2.00%優遇することで、実際に支払う住宅ローンの金利は「0.475%」になるという仕組みです。
まとめ
・変動金利を利用している人は、全体の6割を占めます。
・金利自体は20年間変わっていませんが、金融機関の金利優遇幅が大きくなっています
・今後は金利が上昇すると想定して、どのタイプを選択するか選ぶことが一般的です
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